東京都のとあるショッピングセンターの前は、
隠れた援交の待ち合わせスポットとして、ちょっと有名だ。
そんなお店の正面にある、ファミレスで家出生活一年目の少女、二十一のH子からと出会い、話を聞いた。
金髪のショートボブにベッコウ柄のメガネでコロコロ笑うH子。
胸元の大きく開いた大人びた柄のカットソーと、携帯電話につけられた巨大なディズニーキャラがアンバランスだが、
そのカットソーから除く、腕に隙間なく刻まれたリストカットの痕がもっとアンバランスに感じられた。
「傷、かなりすごいね。」
と聞けば、相変わらずにこやかに笑いながら、
「でしょ。家出してからは切ってなかったんだけどさ。最近、ちょっと復活しちゃって。」
彼女と逢うのは、実はこれが二度目だ。
最初に出会ったのも、このファミレス。
だが、彼女はその日、インタビューの途中に常連の援交客から連絡があると、
「ちょっと稼いでくるから!!」と元気よく宣言し、ファミレスから真っ直ぐ道を渡ったとこの
待ち合わせ場所で男と落ち合い、そのままホテルに行ってしまった。
その日の内容は、彼女が「最大日給九万円」という二十一にしてあるまじきすさまじい経済力でもって、
いかにホストに入れあげているかについて。
今や家出少女とは、切っても切り離せないホスト遊びだが、彼女もまた、
安物の携帯小説ばりにホスト遊びに身をやつし、ネオン街へと消える女にすぎないのだろう。
だが、中断された取材の最後の話題が、再開するまで僕の頭を駆け巡っていた。
「じゃぁ援助交際自体は昔からやってるの?」
「そうだね。中二のとき。はじめての援交は、友達の恐喝です!」
恐喝、すなわち、「強制的に援助交際をさせられていた」というのだ。
それまで出会った家出少女の中にも、イジメ経験者は多かったが、
彼女はその中でも、最も最悪の被害者だった。
なのに、なぜ彼女は、こんなにも笑っているのだろう。
影のない明るいH子にもう一度会って話を聞いてみたい。僕はそう思った。
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